前回のブログから天然ゴムが細く背の高い樹木の樹液からできていることは周知の事実だと思いますが・・・、天然ゴムに様々な種類があることを知る方は多くはないのではないのでしょうか。
そこで本稿では、大きく分けて視覚的格付けゴムと 技術的格付けゴム の2種類に分類される天然ゴムの中でも、技術的格付けゴムについてフォーカスし、その特性や歴史について解説していきます。
技術的格付けゴムって…?
技術的格付けゴムとは化学的分析に基づいて製造される比較的に新しい天然ゴムの種類になります。
それまでは視覚的格付けゴムといわれる、色味によって等級が決めがされるゴムが主流だったのですが、ブロック形状のゴムが開発されて以降、科学的な分析による等級決めが主流となり、技術的格付けゴムが誕生するに至りました。
現在はこの視覚的格付けゴムと技術的格付けゴムの二つが主流であるものの、技術的格付けゴムの方が生産量が多く、幅広い用途で使用されています。
ちなみに、英語ではTechnically Specified Rubber = TSR と呼ばれ、後述するように生産国によって化学的・物理的な規格が定められ、呼称も変化します。
用途はタイヤや防振ゴム、テープ等の粘着剤原料と幅広く使用されています。
技術的格付けゴムの特徴
前述のように技術的格付けゴムの規格や呼称は生産国によってまちまちです。
そこで、ベトナム産技術的格付けゴム「SVR-3L」にフォーカスしながらその特徴について知識を深めてみましょう。
・物性及び特徴
規格 | 規格値 |
Dirt – ゴミ分 | 0.03 %w/t 以下 |
Ash – 灰分 | 0.04 %w/t 以下 |
Volatile Matter – 揮発成分 | 0.07%w/t 以下 |
Nitrogen – 窒素分 | 0.05 %w/t 以下 |
Initial Plasticity – 初期可塑性 | 35 以上 |
Plasticity Retention Index – 可塑度残留指数 | 60 以上 |
Lovibond Color – ロビボンド表色 | 6 以下 |
技術的な規格があることで、使用者にとって品目を選別することが容易になり、視覚的格付けゴムと
比べて物性・品質の安定性が期待されます。また、荷姿は全て35kg以下のベール状でパレット積みのため、従来の視覚的格付けゴム(100kg以上!!)よりも取り回しが良いとされています。
・技術的格付け ゴム のネーミング基準
技術的格付けゴムの名前には世界的なルールがあります。これを覚えておくことでグレード名から原産国や
ある程度のスペックが把握できるようになります。
先程のSVR-3Lを例にとってみましょう:
SVR : Standard Vietnamese Rubberの略。真ん中の単語が生産国を表しています。他にも…
SIR = Standard Indonesian Rubber = インドネシア産
STR = Standard Thai Rubber = タイ産
SMR = Standard Malaysian Rubber = マレーシア産
3L : SVRに続く文字もしくは文字の組み合わせがこのゴムの規格になります。それぞれ原料、製造方法
や用途が違い、HSコードにて細かく分類されています。詳しくは以下をご参照ください。
原料・製造方法 | 規格 | HS コード |
カップランプグレード | 10 | 4001.2210 |
ラテックスグレード | L | 4001.2220 |
ラテックスグレード | CV | 4001.2240 |
・製造工程:ラテックスグレード
集めた樹液を加工して作られる比較的に品質の良いグレードになります。樹液はゴムの木の幹を削ることで採集され、採集時は木に小さなカップを括り付け、その中に集まるようにして採集されます。数時間かけてカップに溜まった樹液(ラテックス)を工場に移送し、そこで加工したものがラテックスグレードとなります。
ラテックスグレード
・製造工程:カップランプグレード
上述のラテックスを集める用のカップに固着した凝固分を原料とする、品質があまりよくないグレードです。樹液採集の工程の後に、カップにわずかに残ったラテックスは乾燥により固まります。これがカップランプと呼ばれるもので、これらを集積し工場にて精製したものがカップランプグレードになります。
ラテックスグレードと比較して、色味が黒く、強烈なゴム臭、品質のぶれが大きいのが特徴になります。
カップランプグレード
・弊社の取り扱い品目
弊社は主にベトナム産のSVR品目を取り扱っております。ご興味のおありの方は、当ウェブサイトの
主な取扱品目ページをご覧いただき、お問い合わせフォームよりご連絡を頂ければと思います!